事例紹介[お客様の声] CASE STUDY

答案返却後の生徒からの質問は内容に関わる本質的なものに変化した

渋谷教育学園渋谷中学高等学校 幕張中学校高等学校

2024/05

渋谷教育学園渋谷中学高等学校(以下、渋谷中高)での定期試験への「YouMark Personal」ご導入と入試への「YouMark」のご導入、渋谷教育学園幕張中学校高等学校(以下、幕張中高)での定期試験への「YouMark Personal」ご導入について、渋谷中高の高際校長先生、幕張中高の田村校長先生のお二人にご同席いただき、各校の状況を伺いました。

PDFで見る

インタビュー動画はこちら

先生方が入試の監督、採点、資料作成を2日間連続して行うので大変だった

渋谷中高でのデジタル採点の導入のきっかけをお話しいただけますか?

高際校長 渋谷中学の入試は全部で4回あります。特に、一般入試は2月1日、2日、5日があるのですが、このうち1日と2日はいずれも試験を実施してすぐに採点し、翌日発表という非常にタイトなスケジュールで動いていました。
本学の場合は4教科入試で、教科ごとの合格最低点を設けていないので、全ての教科の採点が終わらないと合否判定ができないといった状況でした。また、その日のうちに合否の判定会議を行わなくてはいけない。先生方が試験監督、採点、資料作成を2日間連続して行うので、業務軽減を図らないと大変だという声はもともと校内にありました。
もちろん、入学試験ですから避けられない業務ではあるのですが、何か改善できるところはないかといったときに、小計や合計の計算をすること、採点結果をデータにするところにすごく時間を取られていることが分かったので、まずはその時間を短縮したいと考えました。
そうは言うものの、採点のしやすさだけを優先せず、従来と同じように記述問題も出題し、先生方が主となり、記述を含めた入試問題の採点を丁寧に行いたい、という要望もありました。
2つの問題意識でさまざまな検討をした上で、YouMarkの仕組みなら今の採点方法を変えずに済むのではないかという結論に至って、導入を検討したという経緯になります。
入学試験から導入すると、入試当日がいきなり本番になってしまうので、先に定期試験で先生方に広く慣れていただこうということで、まずは定期試験からスタートを切ることにしました。

定期試験でYouMark Personalを導入したときの先生方の反応はいかがでしたか?

高際校長 YouMark Personal の説明を受けたときに「小計と合計の計算をしなくて済む」と聞いて、先生方から「この新しい技術は面白そうだから使ってみたい」という声が上がりました。実際に使ってみると、試験前の設定が結構大変だという声はあったのですが、採点が終わると自動的に点数が出ることにみなさん感動していました。

入試でのYouMarkの運用は、理科と社会の2教科からでした。どのような経緯で他教科でも運用されるようになったのでしょうか?

高際校長 最初に理科と社会で始まったのは、出題の形式や解答用紙の形式を大きく変えずにYouMarkを導入できるというところがあったからだと思います。
次に、数学科では、理科と社会の実際の運用を参考に検討した上で、「これは算数(数学)でも十分に使えるのではないか」となりました。
そして、国語については一部導入という形にいたしました。やはり教科特性があるので、いきなり記述を含めてすべてをデジタル採点に変えるということはせずに、「一部のみ、やれるところからやってみましょう」としました。実際には、点数の計算がスムーズに行えるようになった分、国語の先生が記述問題の採点により注力できるようになった点は良かったと思います。

入試でのYouMark導入にあたって、受験生情報が記載されたQRコードシール(受験生と答案データを結びつけるためのシール)を貼る作業が発生しましたが、懸念事項はありましたか?

高際校長 学内で心配というよりも、受験生が混乱するのではないかということが非常に気がかりでした。ですが、昨今の小学6年生の子どもたちは、試験でシールを貼るという作業に私たちが思っている以上に慣れていて、驚くくらいスムーズでしたので、そこの心配はいらなかったと思います。

採点業務や事務に関してのDX化が必要

幕張中高でのデジタル採点の導入のきっかけはいかがでしたか?

田村校長 当時は採点業務や事務作業など、色々な管理業務のDX化について、多くの先生方からご提案をいただいていたという状況にありました。その中で、YouMarkは渋谷中高が先行して導入していた採点システムでしたので、事例を詳しく聞きながら、本校の先生方にご案内できたというところが非常に良かったと思っています。
究極的には、あらゆる業務のDX化を進めていきたいというところが背景にあるので、チャンスがあればやる、やる以上は浸透させていくということで取り組んできました。全体の業務のDX化を進めていくことで、最終的にはペーパーレスとか、そういう方向に持っていけると良いと思っています。

YouMark(YouMark Personal)の導入を進められる中で、校内で出たネガティブな意見はどのように解決されていきましたか?

高際校長 ネガティブというよりも、心配する声はありました。「今まで通りの採点ができるのか」「画面上での採点でミスが出ないか」といったものもあったのですが、定期試験でYouMark Personalを使い始めたとき、採点後すぐに小問ごとの正答率が見られたり、×になった問題だけを抽出して、後からでもきちんと確認できることがわかったりと、だんだんプラスの部分が見えてきて、ネガティブな意見が少なくなったように思います。

田村校長 教務的には、セキュリティ面に対して神経質になっていたところがありました。今でもそうですが、DX化を推進する上で、利便性とセキュリティというのはどうしても相反関係にあると解釈しています。利便性を優先するほど、セキュリティは緩和していかなければいけないという状況ですので、そのバランスをどう取るかで、取り扱う情報の内容に応じたセキュリティ設定というものが必要になると考えています。
試験問題に関しては、本校が進学校で生徒の関心が高いものですから、それなりのセキュリティを担保して行う必要があると考えていた先生方が多かったように思います。セキュリティ関連の内容は佑人社さんにご相談させていただいて、先生方にも安心していただけたので、順調に浸透しているものと考えています。

YouMark(YouMark Personal)を実際に導入していただいたとき、校内ではどのような意見がございましたか?

高際校長 定期試験でYouMark Personalを使用して採点をしましたときは、確認(採点の見直し)が非常にやりやすくなったと聞いています。
一度○×△をつけた後で、もう一度はじめから全部見直すのではなくて、○×△の採点結果をそれぞれで絞り込んで、画面に表示できるというのは、ひとりで定期試験の採点をするときには、とても使いやすい機能だと思います。×をつけた解答だけを抽出して間違っているかどうかを確認することができますし、○だけを抽出して、本当に○をつけるべき解答に○をつけているか、△の解答だけを抽出して、与えた部分点にブレがないかといったことを確認できますので。採点の進捗状況が可視化されていることと、採点後の分析がとても効果的にできたということも良かったと思います。
実際に入試でYouMarkを使ってみると、採点業務そのものにかかる時間はそこまで削減されないのですが、当日やらねばならない作業を前後の日程に分散することができたというのが非常に大きかったと思います。
機能感に関しては、採点時の最適な画面サイズはいくつだろうというのは、常に話題にあがります。デジタル採点で使っているのが、どちらかというと小ぶりなモニターでして、「採点するには少し小さいんじゃないか」という声はいただくようになりました。その他には「事前設定がもう少し簡単にできるといい」という声は確かにあります。

田村校長 良い面は、試験問題の作成に際しての制約がほとんどないということです。今まで通りのものをそのまま導入するということが可能なシステムなので、その点での不安感ややりにくさということはあまり感じていないのではないかと思います。
ただ、事前の設定について、パソコンの使い方がたどたどしい方々にとっては課題が非常に多いので、人によって敷居の高さは違うと感じています。若い先生ほどそこは柔軟で、早く導入している方が多く、年配の先生ほど少し時間がかかり、場合によっては「今まで通りの手採点でいいや」と諦めてしまう先生もいなくはないです。
とはいえ、半分以上の先生方にYouMark Personalを活用していただいていますし、利用者の比率はじわじわ上がってきているという状態にあります。これから先にさらにDX化を進めていくために、2025年度は入試でもデジタル採点にトライしてみようかと考えております。入試でYouMarkを導入することで、全先生方が関わることになりますし、これでYouMark Personalの使用率も上げていけるのではないでしょうか。

定期試験でのYouMark Personalご使用にあたり、運用面で何か変化はありましたでしょうか?

高際校長 テストに関しては、デジタル採点だから問題や解答用紙を変えるということを極力したくないので、元から親和性が高い教科や学年でYouMark Personalでの採点を行っています。これまでの採点とあまり大きな変化をしなくて済んだということが、YouMark Personalの導入の決め手でした。
記述の問題というのは子どもたちが何を言わんとしているのか、正しい言葉で書けているのかといったことをしっかり見る必要があります。YouMark Personalなら「ここまで何点加点」「ここで減点」というように、赤ペンツールで部分点を書き込むことができるので、デジタルで採点することに抵抗がないようです。
画面上で文字を大きくしたり、あるいは全体と比較したりといったこともできますし、これまで教科が大事にしていた記述のポイントを大きく動かすことなく、採点業務をデジタル化できたといったことが大きかったと思います。
一方、見開きで2題しか解答欄がない解答用紙のように、答え方が多岐にわたって、かつものすごく長く答えるものは、デジタルにする意味が薄れていくので、デジタル採点にしていない印象があります。採点に使用しているモニターの大きさよりも紙の答案の方が大きく見られますしね。
自分が作った試験問題に対して、デジタル採点との親和性が高いものはデジタルになりますし、あまりデジタルの良さが活きないものについては、無理してデジタル化していないという印象があります。

田村校長 ほぼ同様ですね。「採点システムの制約で試験に何らかの影響を与えるようなことはしたくない」というベースの考え方があって、作成した試験に対して、YouMark Personal が使えるという関係性を重視していました。
ただ、使っている先生方はもう採点システムの仕様が分かっていますから、それに合わせて問題を作ることはしています。自分の操作しやすい順番で並べるとか、自分が取り扱いしやすい構成で問題を配置するとか、そのようなことを考えて作られているようです。「試験が優先で、その上でシステムがある」ということを大前提に考えている感じです。

クラウドでやるのが前提
セキュリティをどう担保するのかがポイント

YouMark(YouMark Personal)のようなクラウド型のシステム導入に対する当時の印象や、導入に向けた解決方法はどのようなものでしたか?

高際校長 クラウドにあげることについて、セキュリティの課題は校内でも随分出てきました。ただ、今の社会環境や企業環境の中では、むしろクラウドにあげることがビジネスの主流になっていますよね。それほど先進的な取り組みというわけでもないし、セキュリティが担保できるのであれば、必ずしもクラウドが不安なものではないということは、皆さんの中で理解が進んだのだと思っています。
もちろん、佑人社さんのご説明も安心感を与えてくれましたし、社会的なニーズや社会の現状といったものにも大きく影響を受けているようにも思いました。

田村校長 本校では、DX化に関してはかなり早い段階から進めてきていて、ここ10 年、20 年ぐらい前から自社サーバーを使用していました。これが本当に大変で、結構な容量のサーバーを増設しながらやってきました。この自社サーバーの大変さというのも身に染みているので、クラウド前提でのセキュリティの導入を考えていました。ですから、セキュリティを担保しなければいけないところは、我々のスタンスとしては変わっていないです。
究極的にセキュリティを担保できるのは自社サーバーですが、それをやるのは維持費を含めてものすごく大変なことです。現実的には維持費で年間何千万円単位になってしまうわけです。それがクラウドにすることで非常に安価で設定できるわけですから、費用対効果では比べものにならない。クラウドでやるのが前提になるから、その上でどうするかということの議論で、最初の段階ではそこにあまりハードルはなかったですね。
けれども、そのクラウドでセキュリティを担保するというのがなかなか難しいですよね。これはもう、専門家でないと分からない部分だから、そこが一番難儀するところでして。我々が「こういうことが大丈夫ですよね?」と不安に思うところに対して、専門家の方が「大丈夫です」と返してくれればひとまず安心、というところで進めているのが正直なところです。それぞれの会社がセキュリティポリシーに関して方針を持ってやっていますので、その回答を信頼して進めるという考え方ですね。

答案返却後の生徒からの質問は内容に関わる本質的なものに変化した

YouMark(YouMark Personal)を導入したことで、生徒の皆様から何かお声があがりましたでしょうか?

田村校長 子どもたちからはほとんど聞かないです。デジタルネイティブ世代なので、違和感を覚えることはもうないのかな、と見ています。むしろ、デジタルでないとちょっと古いというイメージを持つのかもしれないですね。意味があってやっているということも分かっているでしょうから、不満が出てくるということはあまりないです。生徒が気にしているのは、むしろ「正解なのに×がついている」とか「○なのに点数が加算されていない」とか、そういうことですね。

高際校長 生徒は、採点や点数に間違いがないのが当たり前だと思っているので、間違いがなくなったことはポジティブにはとらえてくれないですよね。我々もその当たり前に近づけるために、デジタル採点を導入したというところがあります。答案返却後の生徒からの問い合わせが、○か×かとか、「ここの加点が間違っている」とか、採点ミスに関するものではなくて、△あるいは×がついたものについて、「どうしてこれではいけないのか」「何でこれしか加点がないのか」といった、本質的な内容に寄ってきたというところは、良いことかもしれません。

最後に、まだデジタル採点システムをご導入いただいていない学校様に向けて、デジタル採点の良いポイントをお教えいただけますでしょうか。

高際校長 テストの実施は子どもたちがきちんと学習したことが身についたかどうかを確かめるためのものなので、試験前に何を勉強し、テスト当日にどういう答えを出し、その結果を彼らにどうフィードバックするかということが非常に重要になります。学習者である生徒にテストを受けている意味がしっかり伝わるようにしないと、ただ単に点数をつけるだけのものになってしまうというのが、テストの持っている怖いところです。先生方の仕事の中で、例えば点数の計算であるとか、採点が終わった後に子どもたちの解答をゼロから分析するといった時間は、デジタル採点システムの力を借りることで大きく軽減されます。先ほど答案返却のことも申し上げましたが、空いた時間は、結果から読み取れることを学習者にフィードバックする時間に使うことができますし、採点業務を見直す上で、デジタル化を進めることはプラスの要素があると思っています。

田村校長 基本的にはプラスの要素しかないと思っています。業務のDX化というのは、導入当初には、目に見えて経営合理化が図れるか、必ずしも上手くいくかはわからないものですが、最終的にはそれが必然だと考えて間違いないのではないかと。ですから、色々な業務の合理化・効率化を進めていくのであれば、絶対にデジタル化は避けられない。
色々な業務をデジタル化していくときに、高際校長が言うように、試験の本質、生徒の学びを「採点」という形で成績評価していく流れの中で、今までのような手作業で進めていくよりは、DXの力を借りることで少しでも負担を軽減できるのであれば、私はトライすべきだと思います。トライしてみることで、少しずつデジタル化に対するスキルが上がっていけば、負担の軽減も実現が可能になるのではないでしょうか。
やらなければ永遠にやらないで進んでいくだけで、結局大事な部分を削らなければいけないということにもなりかねませんから、DX化を進めていくなら、デジタル採点は積極的に活用していくべきものだと思います。

渋谷教育学園渋谷中学高等学校 幕張中学校高等学校

渋谷教育学園渋谷中学高等学校 幕張中学校高等学校

21世紀の国際社会で活躍できる人間を育成するため、「自らの手で調べ、自らの頭で考える『自調自考』の力を伸ばす」、「国際人として の資質を養う」、「高い倫理感を育てる」という3つの教育目標を掲げている。

お電話によるお問い合わせ

03-5834-8801

営業時間:月~金 9:30~18:00

お問い合わせフォーム

サービスに関するご質問、
「YouMark」のトライアルお申し込みはこちら