事例紹介[お客様の声] CASE STUDY
採点が終わって即ウェブ返却。
生徒のモチベーションが高いうちに返却できる
修道中学校 修道高等学校
2024/05
2020年春から入学試験の採点でデジタル採点システム「YouMark」をご導入いただき、2021年から定期テストの採点で「YouMark Personal」をご導入いただきました。
システムの導入にご尽力いただいた教頭の藏下先生に、導入までの経緯と、導入後の校内の変化についてお話を伺いました。
入試の採点は深夜までかかる過酷な業務だった
藏下先生と初めてお会いしたのは2018年5月の展示会(EDIX2018)だったと記憶しています。その前に、清風南海高校さん(YouMark入試導入校)の視察に行かれたとお聞きしました。
藏下先生 そうですね。当時はまだ1to1 (生徒に一人一台PCを持たせる体制)が仕上がってなくて、その1to1ができている学校への視察をお願いしてお話を伺っていました。
「その1to1いかがですか?」とか「この会社のコミュニケーションシステムいかがですか?」とか、そういったことをヒアリングするためにお邪魔したんですが、「そんなことよりデジタル採点ですよ!」と言われて「何ですか?それは」というところから始まりました。
清風南海高校さんには、デジタル採点を猛プッシュされました。
その後、8月にご訪問し、入試のデジタル採点について改めてご説明いたしました。その時点で、すでにデジタルで入試の採点をしようと決めておられたのでしょうか?
藏下先生 当時の本校の状況を思い返しますと、入試が終わって答案を回収したらすぐに採点を始めて、この大問には○が何個で何点で、それをすべて足して何点とか、電卓を叩いてそれをすべて書いて、読み上げる人、システムに入力する人、という作業をやっていました。そんなことをやっていると、その日のうちに帰れないという状況になるわけです。
合否判定の会議は翌日なのですが、朝までに準備しておく必要があるので、私が合否判定の原案を考えたり、翌日のプレスリリースの文章を考えたりして、帰宅は確実に深夜になっていました。仕事だから一生懸命やりますが、できればそういうことはしたくない。当時はまだ働き方改革はあまり厳しく言われてない時期でしたが、年に1回とはいえ、自分の中ではかなりきつい仕事だなと感じておりました。それが改善できればと思い、YouMarkにすぐ食いつかせていただきました。
入試の採点は先生方にとっても負担が大きい作業で、大事な仕事だとわかってはいるものの、採点となるとどんよりしているところはあったと思います。
12月にもご訪問して、今度は職員会議でYouMarkのデモンストレーションを行い、質疑応答の場を持ちました。当時、先生方からはどんなご意見が出ましたか?
藏下先生 そうですね。私だけの判断では進みませんので、まずは校長の理解を得ること、それから教職員の理解を得ること、そういったところに気をつけながら進めました。
当時は、「採点にかかる時間が短くなったり、採点ミスがなくなったりするのであれば、やった方がいいよね」という意見と、まだクラウドを信用する人が少なかった時代ですので、「クラウドに上げて大丈夫なの?」と心配する意見がありました。
当時どう答えたかはっきりと覚えてはいませんが、「じゃああなたはインターネットで買い物はしないんですか?」「キャッシュレスで支払いをしても、ウェブを通っていますよね?」といったお話をして、説得した気がします。
実際に入試でYouMarkをご利用いただいたのは2020年1月です。導入から4年が経ちましたが、最初の年のことは覚えてらっしゃいますか?
藏下先生 質問が多かったですね。YouMarkの操作方法だけでなく、採点の進め方や解答に対する判断など、「これはどうなんだ」「ここまでやったけれどもどうですか」と、質問が多かったのは覚えています。それに答える担当の方は、相当ご苦労なさったんじゃないかと思います。
ただ、準備さえしっかりすれば記録的に早く帰れるし、時短につながるんだということは、みなさん1年目からご理解いただけたと思います。手で採点するよりも、YouMarkを使って採点する方が早いということは、結果として明確に見えました。
YouMarkには、小問ごとの「正答率」を表示する機能があります。これまでの入試でも、正答率は算出されていましたか?
藏下先生 一生懸命力技で計算していましたが、かなり時間がかかっていましたので、採点が終わってすぐに正答率がわかるのは非常に助かります。作問委員の先生をはじめ、正答率を意識する先生が増えていると思います。正答率は、次年度の入試問題を制作するときに、出題内容を検討するのにも活用しています。
デジタル採点での入試がうまくいき、今度は定期テスト用にYouMark Personalをご案内いたしました。ちょうどコロナ禍に突入して、その対応に追われて、どの学校もなかなかYouMark Personalの導入検討に入れない状況でした。
導入に向けて、藏下先生が働きかけていらっしゃったことはありますか?
藏下先生 いえ、先生方にご紹介しただけなんです。生徒とコミュニケーションを取るツールはいくつか利用していましたが、それ以外のものに関しては、先生方に紹介して、興味を示した人が自ら周りに広めていってくれました。これは校風なんですよね。
「やってみてどうだった?」と聞いた時に、「これは便利だ」という意見が出ました。YouMark Personalの前に、入試の採点でYouMarkにお世話になっていましたので、入試の時のスピード感や便利さ、採点ミスがないことを先生方は実感していましたし、定期テストでもそのメリットを感じることができたのだと思います。
作業時間が短縮できて、余った時間でより実りのある、他の教育活動につなげられるというところは、先生方にご理解いただけたかなと思います。働き方改革の波が押し寄せてきて、ホワイトな職場環境を作ろうと動いていた時期だったので、タイミングが良かったですね。
全員一律で使用を強制するのではなく、こちらは「便利だよ」と紹介だけして、使いたい人が使ったらいいというスタンスでやっています。紹介しても結局は使われなくなったツールもありますので、それを考えますとYouMark Personalは大成功です。
採点システムの導入にあたり、他社のシステムは検討されましたか?
藏下先生 そうですね。こういうのありますよ、と紹介していただいてはいましたが、ハンズオン(実用体験)まではいきませんでした。あまり相性が良くなくて、思ったように進められなかったんですね。事務の担当者とも相談して、YouMark Personalがいいよね、となりました。
他の学校さんだと、導入するにあたって先生方のコンセンサスが取れないとか、上が理解してくれないとか、なかなか導入まで辿りつけないケースがあります。
導入に至るまでのご苦労はありましたか?
藏下先生 学校によってさまざまな状況がおありだと思いますので、一概には言えないのですが、「良いものは良い」という実感を持っている先生が、丹念にお話を広めていかれると道は広がるんじゃないかなと思います。
いくら良いと思っていても同意が得られないとなかなか広がらないし、立ち消えになってしまうこともあります。YouMark Personalに関しては、丹念にお話をして同志を見つけていけば、きっといい方向に行くのではないかなと思いますね。
使用教科に偏りがなく、定期テストだけでなく普段の小テストでもご利用いただいている先生も多い印象を受けました。
普段使いのメリットは、やはり「時短」でしょうか?
藏下先生 効率化ですよね。やっぱり「あったら便利だ」と本当に実感されているからだと思います。定期テスト以外に、小テストでも使われているというのは、実は知りませんでした。そこまで活用しているとは思いもよりませんでしたので、嬉しい驚きです。
コロナ禍で一斉休校を行った時期以降、クラウドを使うことに対する抵抗感はほとんどなくなっていますし、便利なものはどんどん使ってほしいですね。
採点が終わって即ウェブ返却
生徒のモチベーションが高いうちに返却できる
先生方が自発的に広めてくださったこともあり、貴校でのYouMark Personalのご利用枚数は年々増えています。YouMarkPersonalを使う際のメリットとして、特徴的な意見はありましたか?
藏下先生 Classiで返却できることですかね。(注:YouMark Personalには、Classiをはじめとしたさまざまなシステムと連携し、答案をウェブ返却する機能があります)
先生によっては、採点が終わったらすぐに答案を返却しています。テスト返却の時間は設定されているけれども、その日まで待たずに、すぐに「返却」のボタンを押しています。
「あれは合っていたかな?」と結果を気にしている生徒が、テストが終わった何時間か後には○×のついた答案を見ることができて、「合ってた!」「間違えた……」と確認できるわけです。結果がすぐに返ってくることは、生徒のやる気にもつながる大事な部分だと捉えています。
ぼうっと1週間くらい過ごした後に答案返却があり、テストのことを忘れ去ってしまっていると、採点後の答案が「単に○×のついた紙」にしかならないのではないかという感覚もあります。早く返している先生は、そういったところも気にしてらっしゃるんじゃないかと思います。
導入を決めた段階でも、ウェブ返却にメリットがあると考えておられたのでしょうか?
藏下先生 私自身がよく理解していなかったところもあり、後々これはとても便利な機能だなと理解しました。一生懸命頑張ったテストの答案に対して、レスポンスが早いというのは大事なことだと思います。また、テスト返却の時に「パソコンを持ってきてね」と指示している先生もいます。そうするとパソコンの画面上で自分の答案を見られて、先生の解説も聞ける。DX化が進んできたなと感じます。
これはちょっとネガティブな話になるかもしれませんが、まれに答案の改ざんという問題が起こります。紙の答案を返している時には、何年かに一回は「なんだか変だな」と感じることがありました。対策として、答案を全部スキャンしたり、コピーを取ったりしていた先生もいて……「そんな紙の無駄遣いをしてたんですか?」と驚きますよね。それがデジタルで採点、ウェブ返却となれば、改ざんは物理的に不可能になる。つまりその心配は要らなくなるし、生徒を疑わなくて済むようにもなる。そういった部分も大事だと考えています。
事前に想定していなかったメリットですが、こういう仕組みなら改ざんの心配は要らないなと後から気付きました。
先生自身が伝道師となって、システムを広めていく
YouMark Personalを使ってらっしゃる先生方から、ネガティブな意見を聞くことはありますか?
藏下先生 YouMark Personalを使っていない先生の中には、事前設定作業が負担になるのではないかと心配している方がいるようです。使っている方は、「こんなに簡単なのに」「チョチョイのチョイなのに」って言っているんですが、設定がかなり大変そうだと思ってしまい、敬遠してしまう方もいらっしゃいます。でも、私自身の担当科目が美術で非テスト教科なので、私から「使いなさい」と強くは言えないんですよね。
今、本校では、キャッチアップ研修を月に1回くらい開催しているんです。機器やアプリをしっかり使い込んでいる先生から、あまり使っていない先生に対してレクチャーをして、「みんなで使っていきましょう」というもので、コロナ禍以降継続して実施しています。
次年度のキャッチアップ研修では、「今一度YouMark Personalをハンズオンでやりたい!」と一部の先生からご提案がありました。定期テストの設定から採点、返却まで一連の流れをやりたいんだそうです。講師役の先生の過去のテストをひとつ選んで、事前にみなさんに共有した上で、「こうやったら解答を表示する枠が設定できるんだよ」とか「模範解答はこうやって設定するんだよ」とか、実際にやっているところを見てもらいながら、みなさんと一緒に設定していくという研修を4月以降にやろうかなと考えています。私よりも熱心な方が色々提案してくれています。
実際にシステムを使っている先生方からそのようなお声が上がってくるのは、YouMark Personalの利便性を実感して、「広めたい」と思ってくださっているからこそですね。
藏下先生 全体でやれば大きなメリットが生まれるという意識がおありなんだと思いますよ。「これだけ便利なのに、なんでみなさん使わないんだろう?」と思っているのでしょうね。私自身が「良いものは良い、広めようよ」という動きをするのですが、一人でそう言っていてもなかなか広がらないんですよね。協力者が現れることでさらに拡散していきますので、そういう方が現れ始めたということは、このYouMark Personalはさらに広がるポテンシャルがあるんだと思います。
システムに合わせて出題傾向や問題の形を変える必要がない
YouMark Personalでは、客観式問題だけでなく、文章で書かせる問題や英作文、数学の解法など、採点が複雑な問題も採点していただいていますね。
藏下先生 定期テストの問題に関しては、理解していてほしい内容を問わないといけません。YouMark Personalで採点するからといって、出題の傾向や問題の形を変える先生はいないと信じています。
我々も、システムにテストを合わせるのではなく、普段のテストをそのまま使っていただくことを重視して、開発を行っています。
藏下先生 定期テストで使っているところを見ますと、どのような問題であっても採点に支障はきたしていないであろうと思います。むしろ、画面を拡大して細かいところまで見る、というようにYouMark Personalの機能を活用して、より明瞭な採点をしているのではないかと思います。
YouMark Personalを使う上で、工夫しておられることがあれば教えてください。
藏下先生 採点結果の出力に関することでひとつあります。校務システム側を調整して、採点した出力結果(採点結果CSV)を、ボタンひとつで取り込めるようにしてあるんです。「YouMarkから結果を取り込む」というボタンがあって、採点が終わったら、そのボタンを押して、「ハイ、おしまい!」っていう。
一方で、紙で採点している先生方は、採点が終わったらそのシステムに入力しないといけないわけです。ポチポチと「75点」とか打ち込んでいる方もまだまだいらっしゃいます。採点後のことを考えても、YouMark Personalを使った方が便利ですよね。
機能面について何かご要望はありますか?
藏下先生 それがですね、あまり上がってこないんですよ。今日、佑人社さんがおいでになって、お話をすることになると伝えてはいたんですけれども、「ちょっとこれ言っておいて!」というのはなかったです。
ありがたいことですが、言わないだけで何かしらあると思っているんです。「こういう機能があったらいいのに」「この画面はこうなっている方が使いやすい」とか。何かあれば、ぜひご意見をいただければと思います。
また、佑人社のサポート体制について、何かご意見はありますか?
藏下先生 佑人社さんは本当に親身になってサポートしてくださっていて、非常に嬉しく思っております。莫大な費用をかけて導入した割にうまく活用できなかったり、うまく回らなかったり、本校の内情が悪かったのかそのシステムとの折り合いが悪かったのかはわかりませんけれども、結果的に長続きしなかったという経験が過去にはありましたからね。YouMarkもYouMark Personalも、導入して本当に良かったと思います。
ありがとうございます。お役に立てて本当に嬉しく思っております。最後に、これから導入される学校さんに対して、アドバイスをお願いできますでしょうか。
藏下先生 便利ですよ~。色々な工数が減ってきますし、採点ミスも少なくなりますし。まずは導入されたらどうですか?というのが正直な気持ちです。入試に関しては一斉導入ということになると思うんですが、まずはYouMark Personalを一人でもいいから使い始めて、それが学校全体に広がっていくという方が、もしかしたらうまくいくのかもしれないですね。
◆活用事例◆
後日、YouMark Personalの使い方についてご報告をいただきました。システム活用の一例として、先生方のお声とともに紹介させていただきます。
<これまで>
・複数の教員が同一学年のクラスを分担して担当している
・担当しているクラス単位で、個々に採点を行っていた
<新しいやり方>
・設定と答案画像のアップロードは、代表して1名が行う
・採点は4名で分担して行う
・テストを共有し、大問ごとに採点担当を振り分ける
(1つのテストを「採点依頼」で共有する採点方法)
<メリット>
・それぞれのタスクがシンプルになり、採点スピードがUP
・1名がクラスを横断して採点を行うので、判断にブレがない
(採点基準を他の教員と擦り合わせる必要がない。ただし、テスト返却は各担当なので、教員間の感覚のシェアが必要)
・採点状況が見えるので、他教員の頑張りや進捗に触発される
・体調不良など、急遽対応が必要になった時もフォローし合える
<懸念事項>
・生徒1名分の答案の全体像や学力像が見えづらい
(これはYouMark Personalに限ったことではなく、設問単位で採点をするデジタル採点の特性)
<佑人社から>
YouMark Personalでは、生徒単位やクラス単位で、採点後の答案画像(PDF)をダウンロードすることができます。担当する生徒やクラスの答案画像をダウンロードし、それを閲覧することで、学力像の把握に役立てていただければと思います。
修道中学校 修道高等学校
広島県広島市にある私立の中高一貫男子校。 江戸時代の藩校を起源とし、国内屈指の歴史を持つ。「道を修めた有為な人材を育成する」という建学の精神に基づき、「知徳併進」の教育方針のもと、「尊親敬師」「至誠勤勉」「質実剛健」を掲げ、6年間の一貫教育で「自治向上の精神」を培う。 「責任ある自由」を謳い、学年が上がるごとに生徒の裁量が増す自由な校風が特徴の進学校。さまざまな分野で活躍する著名人を多数輩出している。